新紙幣とタンス預金

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来月7月3日より、約20年ぶりに新紙幣が発行されます。
一万円札は渋沢栄一、五千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎に変更されます。
私は物心ついた頃から一万円札は福沢諭吉だったこと、高額紙幣を「諭吉」と表現するような風潮もあるので、福沢諭吉ではなくなってしまうことに何だか違和感を覚えます。

さて、この新紙幣が発行されることにより、巷で話題となっているのが「タンス預金」です。いったいどの程度影響があるのでしょうか。また、これを機会に「タンス預金」というものをもう一度考えてみましょう。

まず現在タンス預金をお持ちの方は、新紙幣以降はタンス預金がすべて旧紙幣となります。ではこの旧紙幣はすぐに新紙幣に変えなければならないのでしょうか。

答えはNOです。

新紙幣に切り替わったとしても、旧紙幣が使えなくなるわけではありません。私も1年ほど前に夏目漱石の千円札をお釣りでもらった記憶があります。

ただしタンス預金にはデメリットも多くあります。おもに3つ挙げてみましょう。

①防犯上の危険性
言うまでもなくタンス預金は盗難や災害により消失する恐れがあります。頑丈な金庫があればある程度安心かもしれませんが完全ではありません。
ただし銀行にお金を預けていても、最近はインターネットバンキングが主流となっており、サイバー攻撃をしかけられてお金を盗まれる危険性もあります。これに関してはどちらが安全とは言い切れないかもしれません。

②インフレリスクがある
これも現金・預貯金ともに言えることですが、インフレになると現金の価値はどんどん下がっていきます。現在も日本はインフレがすすんでいるため、現金を保有することのリスクはより上がっていくでしょう。

③出どころがわからない
これが一番のデメリットだと思いますが、タンス預金が多額になっている場合、それが誰のお金なのかを証明することが難しいのです。
とくに問題になるのが相続の時です。相続人からすれば、それが亡くなった親の財産なのか、兄弟が貯めたお金なのかが分からないため、分割協議の際に揉める可能性があります。
また、税務署に対しても誰のお金か証明することが難しいため、自分で貯めたお金であっても、相続により取得したお金ではないのかと疑われるケースもあります。
第三者に証明するためには、「〇月〇日に〇〇銀行から〇〇円引き出した」と記録しておくなど、ある程度の記録は必要です。

タンス預金が「悪」だと言うわけではありませんが、上記のようなリスクがあるため再度検討の余地はあるでしょう。

2024年からは新NISAも始まり、世間は貯蓄から投資へ意識が向いています。今回の新紙幣発行によって、「現金」を保有することを考え直すキッカケにしてほしいと考えます。
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